NETFLIX『グウィネス・パルトローのグープ・ラボ』を見て思ったこと

NETFLIXでの配信直後から、多方面から問題視されている『グウィネス・パルトローのグープ・ラボ』。何がよくないのか、実際に見てみました。

  • The Goop Lab
  • 2020年
  • アメリカ
  • 配信:NETFLIX(オリジナル)
  • 音声:英語・日本語・ポルトガル語
  • 字幕:英語・日本語・ポルトガル語・中国語・韓国語
The Goop Lab (2020) on IMDb
↑↑↑日本語字幕が出せます。

ホストを務めるグウィネス・パルトローが、自身の会社Goopを通して、心と体を癒す6つの疑似科学療法を紹介します。

はじめに言っておきますが

私は、女優としてのグウィネス・パルトローは好きです。

この番組は、グウィネス・パルトロー自身が、そして自分の会社Goopの社員たちが実際に体験した、疑似科学に基づく心と体の癒しの方法について紹介しています。

それから何よりも、この番組を見るにあたって肝に銘じておかなくてはならないことが、各エピソードの冒頭に明示されています。

「番組の目的は医療アドバイスではありません、健康や治療に関しては医師にご相談を」

つまり、この番組で紹介されているのは、医療行為ではないということです。

ということで

各エピソードを簡単に紹介します。

心を癒す”トリップ”

――ジャマイカで幻覚キノコを食べて、それでもって泣いたり笑ったりして、感情を解き放ちましょう。

泣いたり笑ったり、気持ち悪くなったり、ストレスがスッとレスしたとか、幸福感を感じたりするのは単に幻覚キノコを食べたせい。

その場限りで「あー癒された。」なら「良かったね。」で済みますが、これは間違いなく、薬物依存への入り口です。

適切な管理者の下で行いましょうとか言ってましたが、(幻覚キノコをストックしてる)とかいうおばさんだかお姉さんだかがコメントしてましたが、彼女はたぶんキノコ中毒です。

冷やされて癒される

――体にショックを与えると、ストレスを緩和できるから、雪上でヨガったり真冬の湖に飛び込んじゃいましょう。

雪の上で水着になってヨガったりしてしてますけど、湖に飛び込むための準備運動でしょ。ちゃんと体を温めておかないと、湖に飛び込んだ時に心臓止まっちゃいますからね。

水から上がった後、みんな寒くないとか言ってましたが、子供のころの水泳教室を思い出してみてください。プールから上がった後、そんな寒くなかったでしょ。

ちゃんと準備運動して、飛び込んで、岸まで泳いで・・そんなもんです。

わたしたちの快感

――セックス教育者ベティ・ドッドソン(その筋では有名な人らしい)が行っている、女性に性の悦びを教えるワークショップを紹介しています。

まあ、簡単に言ってしまえば、羞恥心を捨てて自慰でイケるように指導しますよって感じでしょうか。

ちなみに、このワークショップの参加費は2016年当時、成人で12万ぐらいだったそうです。(ブログ記事を見つけて読んだら書いてありました)

ヘルススパン改善計画

――頬っぺたに糸を通したり、数日間のプチ断食したり、自分の血液から分離させたものを顔に注射したりして、生物学的年齢の変化を調べます。

結果、ほら若返ってますよ、だって。
美容整形したり、プチ断食したり、食べるものを変えただけで、生物学的年齢が若返るって、

世界で初めて「生物学的年齢」を若返らせる可能性が示される
(natureの記事のリンクです)

上の記事で言ってる「生物学的年齢」と、この番組で言ってる「生物学的年齢」は完全なる別物ですよね。学会とかで発表しちゃうレベルの話ですからね。

ちなみに、グウィネス・パルトローがプチ断食中に食べていたやつは、彼女のサイトで売ってます。たしか250ドルぐらいだったような。

エネルギーがもたらす効果

――体内に流れるエネルギーを感じて、心と体を癒しましょう。


ただの気功です。

実はあなたも超能力者?

――霊媒師が出てきて、亡くなったお爺さんはいつもあなたを見守っていますよ、とかいうやつ。

江原とか冝保愛子先生とかの類ですね。
そりゃ、霊はいると思いますよ(子供のころ見たことあるし)。でも、だから何だって話ですよ。

自分には、姿が見えないし、声も聞こえないんです、だってお爺さんは死んじゃってますから。でも霊媒師には、姿が見えるし、声も聞こえるんです。

なぜかって?

霊媒師だからです。

霊媒師も霊媒師で、いつもあなたを守ってますよとか、なんとかって言ってますよとか言うんじゃなくて、1年前に貸した150ドル返せと言ってますよとか、子供のころ貸したマリオのカセット返せと言ってますよ、とか言ってくれればもっと面白いのになあと思った次第です。

また最後、降りてきた霊たちは、霊視対象者ではなくて、後ろにいたスタッフの関係者だったことから、ううぇ~っとなって終わりました。そして、これのせいで全てが茶番に思えてしまったのは、ひっじょーに残念です。

なにが悪いかというと

この番組をネットフリックスがオリジナルとして、1億6700万人の会員に向けて配信したのが悪いです。

各エピソードの頭に入る
「番組の目的は医療アドバイスではありません、健康や治療に関しては医師にご相談を」
というのは、番組の制作者・配信者の逃げ口上でしかありません。

どうなんでしょう、この番組ってネットフリックスが発注したのでしょうか、それとも『ポリティシャン』でネットフリックスと繋がりができたグウィネス・パルトローの持ち込みでしょうか。

まあどちらにしても、ネットフリックスの厳格な倫理規約に触れなかったというのが驚きです。

番組では、心と体に対するプラス面ばかりをアピールしていましたが、それ相応のマイナス面もあることをキチンと説明するべきだったと思います。

仮にプラス面しかないのであれば、それはもう「治療」として確立されているはずだからです。

明らかに番組の作り方が一方的です。

また大多数の見方として、この番組はインフォマーシャルだというのがあります。事実、番組で登場したグッズがGoopのサイトで販売されています。これは、グウィネス・パルトローが、自分で自分の会社の製品を買わせようとプロモーションしているってことです。

まあ、オスカー女優ですから番組のホストとして、グウィネス・パルトローを使うのは100歩譲って良しとしても、彼女の会社Goopを通して、またそこの社員を被験者にして番組を作ったのは、明らかにやりすぎです。

でもこれ、実はGoopを咬ませたことによって、番組のうさん臭さが100倍アップしちゃってるんです。今はネットが普及しているので、Goopがどんな会社かちょっと調べればわかります。たとえば

Goop(wikipedia)―google翻訳が活躍します。

そしてそんなGoopと一緒に出ちゃってる、霊媒師、気功師、キノコ職人、おっさん、若返る人、なんかは(自慰マスターのおばあちゃん以外)インチキに輪をかけて超インチキにしか見えなくなります。

でも正直そういうふうに見るのが、正しいと思います。

間違っても、この番組で紹介しているような方法に頼ってはいけません。

そして、一企業の利益に寄与するような番組を、ネットフリックスは配信するべきではありません。

最後に

「番組の目的は医療アドバイスではありません、健康や治療に関しては医師にご相談を」

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